Dr.エンドーのガッテン講座

講座その3:動脈年齢をわかわかしく!(1)大動脈硬化と動脈硬化とは?

大動脈硬化と動脈硬化とは?

大動脈は心臓から上に向かい、左方に弓なりに急カーブ(弓部)して背骨の左側に沿って下降し、下腹部で両足に向かって二股にわかれます。
若いときの大動脈は長さ約30センチメートルの弾力性のあるかたいゴムのような筒状構造です。
ここから大きな動脈が多数枝分かれしています。心臓のポンプ作用による最大血圧に対して、最小血圧は弾力性のある大動脈のクッション効果と細い動脈の抵抗を示しています。
両者の圧差はわずかの時間のずれで動脈壁に沿って伝わっていきます。
従って、実際の最小血圧は大動脈で吸収された圧力として測られることになります。
つまり、弾力性がない大動脈だと最小血圧に強く影響を与えます。

大動脈硬化の特徴は内壁に脂肪の塊のような粥腫(ジュクシュ)ができることです。
これのできやすい場所は弓部と腹部で、いずれも大きな動脈が枝分かれするところです。
粥腫のおこりやすいもうひとつ重要な部位は、脳に行く両側の頚動脈であり、これは耳の高さで内外に二股にわかれます。
血流の枝分かれするところで血流が乱れるため、内側の壁にある内皮細胞にひずみのストレスが加わり、内皮細胞のこわれが局所に炎症と粥腫をひきおこすことになります。

大動脈から枝分れした動脈は壁に平滑筋のある筋型動脈になり、さまざまな臓器に血液を供給します。
動脈硬化ということばは、大動脈硬化を含めて使われることが多いですが、両者は構造と働きそして役割が大きく異なっており、動脈硬化の成り立ちも大きく異なります。

筆者の病理解剖の経験(約1000例)からわかったことは、日本人ではおおむね男性は50歳代になると大動脈の内壁に小さな黄色の斑状の粥腫(ジュクシュ-アテローマ)がところどころに目立つようになり、部分的にカルシウムがたまった石灰化という状態になります。
粥腫をつくるもとが悪玉コレステロールです。
大動脈硬化の程度は性差が明らかで、女性では男性に比しておおむね軽度です。
大動脈の粥腫や硬化の程度は栄養状態にも依存し、年齢とともに強くなっていきます。
大動脈は30歳代まではしなやかですが、40歳台を過ぎる頃から大動脈は徐々に伸びてひろがり、硬さをゆっくり増していきます。

従って大動脈硬化とは、壁に脂肪やカルシウムが長い年月の間にたまって、弾力性が低下することに他なりません。
そして長さも最終的には40センチメートル近くに延長蛇行し、太さも1.5倍にひろがってしまいます。
高脂血症や糖尿病あるいは慢性腎不全に対する長期透析の状態では、年齢に無関係に大動脈硬化や動脈硬化の程度はたいへん強くなります。
これらの原因はかなりわかってきています。

1 2 3