Dr.エンドーのガッテン講座

講座その5:動脈年齢をわかりやすく!(3)マーガリンの誤解(トランス脂肪酸)

マーガリンの誤解(トランス脂肪酸)

バターの代用品として登場したマーガリンは健康食品として宣伝され、格安さもあり、今や日本の食卓に定着した感があります。
しかし栄養学的ならびに医学的には健康増進に役立つとは必ずしもいえないことが徐々に明らかになっています。

バターは牛乳より分離した脂肪を原料とした食材で、朝の食卓のトーストパンや調理には欠かせない味付けのベースです。
バターの健康に及ぼす悪影響は、それに含まれる豊富なコレステロールや中性脂肪についてです。
ここではコレステロールは有無をいわせずに悪玉です。
これに対して、もともと常温では液状の不飽和脂肪酸を固化させる製法(人工的硬化技術)が開発され、コレステロールを含まないマーガリンが産み出されて、好評となりました。
この技術は欧米で開発されました。マーガリンはパンに塗るとき適度な柔らかさとなり、スプレッド(塗ってひろげる)の役割にはぴったりです。

JAS規格では、マーガリンは「食用油脂に水などを加え乳化した後、急冷、練り合わせ、または練り合わせしないで作られた可塑性、または流動性のもの」と定義されています。
つまり植物油、魚油を原料として、それらの不飽和脂肪酸の不飽和部分に水素が負荷され、シス型に対してトランス型の立体構造のものがマーガリンの主成分であり、トランス脂肪酸あるいは硬化油(還元オイルあるいはハイドロジェネイテド=水素化)と呼ばれています。
天然に存在する脂肪酸の多くはシス型で、細胞膜の構成成分などで生理的な意義をもちます。

トランス脂肪酸は天然に全く存在しないかというと、そうではなく牛や羊などの反芻動物の胃で常在細菌によって産生され、牛乳や乳製品の脂肪酸の3-8%を占めるといわれています。
米国では食事中のトランス脂肪酸の約1/5が天然の肉や乳製品由来とされています。

マーガリンは学校給食、病院の患者食などにも使われ、かつコマーシャルの「植物性油脂100%」という宣伝文句が、健康食品のイメージを呼び起こします。
マーガリンあるいはパン、スナック食品中のショートニングに含まれるトランス脂肪酸は実は健康増進の働きに逆効果であるとする最近の国際的な研究報告がみられるようになっています。

もともとこのトランス脂肪酸は脂肪の酸化(腐敗)防止、製品の日持ちの良さというメーカーや販売側の利点もあります。
他方、ショートニング添加による食感の良さ、つまり微妙な歯ごたえなどの効果やパンに塗ったときの適度な柔らかさは微妙に美味しさを増しています。
これらは消費者にとっても心地よい感触です。

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