Dr.エンドーのガッテン講座

講座その5:動脈年齢をわかりやすく!(3)マーガリンの誤解(トランス脂肪酸)

現在ではトランス脂肪酸はマーガリンのみならずパン製品、クッキーなどの菓子類、乾燥インスタント食品のなかにショートニングとして広く使われてきています。
トランス脂肪酸は、シス脂肪酸や飽和脂肪酸よりも血中の悪玉コレステロールを上昇させ、善玉コレステロールを低下させるという研究報告や、トランス脂肪酸と心血管疾患との因果関係についての報告がここ数年間に急増しています。
オランダでは1995年に研究者からの提案がきっかけで、業界は自主規制で製品にトランス脂肪酸含有量表示を義務づけ、またトランス脂肪酸を含むマーガリンの製造は中止されました。
ヨーロッパ共同体(EU)全体の動きも同様です。米国では、米国食品医薬品局(FDA)の指導で、たばこの有害表示と同様に、含有量表示が義務づけられ、トランス脂肪酸を含まないマーガリン製品には大々的な宣伝の包装がほどこされています。

マーガリンを取り巻く動きが活発化する中で、フィンランドでは、コレステロールを低下させるマーガリン(トランス脂肪酸を含まない)が開発されました。
松由来のシトスタノールが、消化管でのコレステロールの吸収を抑え、その結果血中コレステロールを低下させるという臨床研究から、シトスタノール入りの新しいマーガリン商品が開発され、ヨーロッパ各国で市販されています。
しかし、この添加物入りのマーガリンをアメリカで販売するにあたり、米国の食品薬品局(FDA)は食品添加物の審査に慎重で、認可までに紆余曲折が予想されます。

欧米のこのような動きに対して、北米の最新の健康と食品に関する解説書は、トランス脂肪酸入りのマーガリンに厳しい評価を下し、記述はまさに警告的です。
今までのところでは、トランス脂肪酸と心筋梗塞などの心血管系疾患に関する研究が主に報告されていますが、トランス脂肪酸とがんとの関わりが現在研究対象となっています。
乳がん発症とトランス脂肪酸のかかわりについて相反する報告があり、未だ判断できない段階です。
日本でも、現在市場に出回っているマーガリンやショートニングが真に健全な食材といえるのかどうか、学術的な再評価が待たれます。

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