Dr.エンドーのガッテン講座

講座その5:動脈年齢をわかりやすく!(3)マーガリンの誤解(トランス脂肪酸)

マーガリンと心臓病

米国での大規模なハーバード看護婦協会の疫学調査報告を読むと、トランス脂肪酸入りのマーガリン使用が大変気になります。
1993年の報告によると、85000名の看護婦について調査され、マーガリンの高い消費者群は低消費者群に比して心臓病のリスクが66%も高かったとあります。
一方で、心臓病とバターの消費量との間にはわずかな相関が見られた程度です。その後トランス脂肪酸入りのマーガリンの脂肪代謝について多数の研究報告が続きます。
マーガリンと他のトランス脂肪酸は、血液中の悪玉コレステロールの低密度リポプロテイン(LDL)コレステロールを上昇させ、善玉コレステロールの高密度リポプロテイン(HDL)を下げてしまうので、心臓や血管に対してダブルに不利ということになります。

ところで、これらの脂肪酸、脂質の話は直接生物の細胞膜にかかわる大問題で、トランス脂肪酸が多くなると細胞膜の脆弱性にかかわり、細胞膜由来のアラキドン酸カスケードに影響し、炎症、抗炎症のバランスが動揺します。
そして血管内皮細胞障害、血栓形成、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞など人間の生活習慣に密接な病気にも深く関わってきます。
また、妊娠中の母親のトランス脂肪酸摂取が胎児に移行することから、世代間に関わる大きな問題でもあります。
人間に都合のよいように便利さを求めて作られてきたこうした人工産品が知らず知らずのうちに人間をじわじわ苦しめていくとは困ったことです。

牛肉には天然のトランス脂肪酸が含まれているから、食べる量を減らした方がよいことになります。
パン、ケーキ、クッキー、インスタントラーメンを食べるときは、その中のショートニングにトランス脂肪酸の含まれていることを覚えておき、トランス脂肪酸の摂取を減らすことができます。

以上のように考えてきますと、食べ物がおいしくなくなってしまいます。
大切なことは、かたよらない食事をかんがえておけばよいわけで、かたくるしくなることはありません。要は、ホドホドで、おいしければ最高ではないでしょう。
かくいう筆者もそのように日々過ごしており、食事のたびに上述のようなことを考えてもおりません。

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