Dr.エンドーのガッテン講座

講座その6:赤いトマトの健康パワー(1)

第一にとりあげたいのはトマト。スーパーにはさまざまな形や色彩のかわいくもたくましいトマトがならんでいます。
ミニトマトからフルーツトマトまで多士済々。トマトは毎日食べても飽きないという点できわめてユニークな食材です。
酸っぱ味は食欲を増し、甘みは味にコクを増してくれます。特に朝食の寝ぼけた胃袋にはトマトの適度な酸味(pH約4)は程よい量の朝食をうけいれるのに最適でしょう。
更に、トマトは昼食のサラダやサンドイッチ、夕食の主菜にそえる野菜として欠かせない食材といえましょう。

原産地は南米の荒涼とした高原大地とか。食文化史的に大変興味深いものがあります。
トマトは南米の征服者(コンキスタドーレ)のスペイン人によってヨーロッパにもたらされ、地中海を中心にひろがりました。
当初、トマトは食べものというより飾りものだったようです。19世紀ころまで有毒のイヌホウズキと同じと考えられていました。
その後イタリアを中心に食材としていかされて、調理したトマトはイタリア料理の味つけには欠かせないものになっていることは皆さまご存知のところです。

トマトの良さ、それは豊富なビタミン、葉酸、カリウムを含んでおり、豊富なビタミンはおもにトマトの赤味に由来します。
これはカロチノイドといわれているもので、天然にある最もありふれた色素のひとつです。
緑黄色野菜に含まれるカロチノイドはビタミンAにさまざまな種類の成分からなります。
トマトの中にあるカロチノイド成分がリコペンと呼ばれ、がん予防に重要な成分であることがわかってきました。
そのほかに貧血改善によい葉酸を含んでおり、ビタミンCそしてミネラルのカリウムが豊富です。

かための紅いトマトはヘタを下にして室温でも日陰におくと約1週間もちます。冷蔵するとかえって味や食感を悪くします。
食物100グラム当たりのリコペンの主な含有量(mg/100gで表示)は以下のようになります。
トマト(生)3.10、トマトジュース(缶入り)8.60、トマトペースト(缶入り)6.50、トマトソース(缶入り)6.30、スイカ(生)4.10です(マンジェルス他:果物や野菜のカロテノイド含有量:分析データの評価を一部改変)。
このことからリコペン量は自然界には比較的にまれなものであることがわかります。

リコペンもほかのカロチノイドと同様に油にとけるビタミンですから、いためものや調理ものの方が消化吸収されやすいでしょう。
生野菜サラダでもオリーブオイルやごま油をベースにしたドレッシングにからめていただいてはいかがでしょうか。
できますれば、トマト、レタス、たまねぎなどのきざんだ野菜ははじめオリーブオイルやごま油でからめてからお酢や塩を加えますと、さっぱり感をたもたせることができましょう。
こうしてみますとピザやトマトのパスタソースがかかせないイタリア風料理は理にかなった調理法です。
いわゆる「地中海料理効果」という健康食の代名詞に使われるゆえんといえましょう

カロチノイドはからだの中で常時つくられてしまう悪玉酸素(活性酸素)を消しさる抗酸化作用をもっており、中でもリコペンは抗酸化作用がつよいことが知られています。
活性酸素とは、からだのすべての細胞たちが生きているあかしのエネルギーをつくりだす際に、必要悪としてつくられてしまうものです。
これを消しさる力の差が動物の寿命を決めているとさえいわれています。活性酸素を消しさる方法は二つあり、食べものから補給する方法とからだにそなわっている抗酸化力(酵素の力)を高める方法です。

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