Dr.エンドーのガッテン講座

講座その8:大豆の効用(1)”土からとれるお肉”と牛肉の関係

大豆タンパクとは?

今回はトマトとともに最もありふれた食材の大豆についてとりあげます。
これは筆者年来の興味の対象です。それは、大豆は「植物の牛肉」である以上に、「植物エストロゲン」をはじめ様々な生理活性物質のかたまりだという事実を知ったときからです。
これらを食べることによって真にからだの中に取り込まれて、試験管レベルで検証されたはたらきが発揮されるのであろうかという興味です。

私どものからだにとってさまざまに役立つ物質がふくまれており、誇大宣伝の雑音とは無関係にその素晴らしさを堪能してみたいところです。
日本人の食の原点ともいえる大豆について、からだとどのようにかかわるのかを考えてみたいとおもいます。

その前に、自然界の有機物質について少し考えてみたいとおもいます。
その代表的なものである食べ物は、炭水化物、脂質、タンパク質であることはほぼ常識といってよいでしょう。
炭水化物とはそのことばどおり「炭酸ガス」と「水」が「化けた物」であります。化学記号ではCO2とH2Oとなり、基本成分はC,H,Oということです。
脂質の基本成分もC,H,Oですが、タンパク質にはこれらにNが加わります。Nとは窒素のことで、空気中の4/5を占めている分子ということになります。
このことは以下に述べますようにきわめて重要な意味をもっているのです。

多くの植物は土中の細菌によって分解された虫や朽ちた植物からのアミノ酸を吸収してタンパク質を合成して育ちます*(註)。
一方、大豆やインゲン豆などのマメ科植物では根に根瘤バクテリアという細菌が寄生しています。
これが空気中の4/5を占める窒素の一部を固定して積極的にアミノ酸をつくり、それらを根に供給して植物の成長に役立ちます。
余ったアミノ酸から合成されたタンパク質は結果として、豆に蓄えられることになります。

この現象は大変重要で、こうした共生現象は牛の胃袋にもみられます。
牛は反芻動物と呼ばれ、4部屋にわかれた胃袋をもっています。食べた牧草は、第一番目の胃でこなれると同時に寄生している細菌とよく混ざります。
口に逆戻りして噛んでいるうちに細菌は空気中の窒素を固定してアミノ酸をつくり、消化管で吸収されます。牛は牧草(C,H,O)だけを食べているのにどうしてタンパク質(C,H,O,N)の塊である立派な筋肉ができるのかというなぞがガッテンできるわけです。

牧草を食べさせないで、人間の勝手な考えにもとづいて動物性のタンパク質を食べさせていくと牛の胃袋はどうなるでしょうか。
第一番目の胃のひだは急速に変化して、胃内の細菌類の内容が変化していくそうです。
いったん変化すると、胃粘膜や細菌類の内容変化を元にもどすのに大変時間がかかるそうです。やはり自然に逆らってはいけないようです。

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