家庭の医学

糖尿病について(1)

糖尿病の基礎的知識

はじめに

糖尿病について、今や生活習慣病の代表的なものとなっている。しかも、書店にはたくさんの医学書も並べられており、一般の方々にも多く知られているのではないだろうか。しかし、それを後目に糖尿病が増加傾向にあるのはなぜだろうか。

我が国の糖尿病における死亡順位は第10位を占めており、上位にあげられる疾患も糖尿病が何かしらか変わっていることも少なくないといえる。日頃、職場における検診や医療施設において血液検査をする機会もあり、その結果が何かしらのサインであったであろうが、自覚症状がないために放置していたりすることも、発病の原因と考えられる。また、食生活の変化、移動手段の多様化、ストレスといった生活スタイルの変化も大きく関与していることもその原因ともいえる。

ここでは、糖尿病について正しく理解していただけるよう、また、病気を自らが受け入れられうまく生活していけるような情報を提供できれば幸いです。

糖尿病の基礎的知識

糖尿病とは

まず、糖尿病とはどのようなものであるのか、述べていきたいと思う。間違えやすいものとして、尿検査において糖がでてしまうことがすべて糖尿病であるとはいえない。
私たちが普段口にする食物には、大きく分けてタンパク質、脂質、糖質の三代栄養素といえるものが、いろんな消化過程を経て体内に運ばれていく。その中でも、糖質は、その消化過程を経てブドウ糖へと変わり血液内に流出される。

ブドウ糖は、エネルギー源として脳や細胞内、筋肉などに取り込まれる他、ブドウ糖を肝臓にためておくことも出来る。万が一、山などで遭難した場合数日間食物を口にしなくいも、生き延びて入れるのは、体内のエネルギー源であるものがなくなったときためておいたブドウ糖を他の場所へ、使いやすい形にして運んでいくからである。
ブドウ糖は、このように私たちが生きていく中で大切なものであることがわかつていただけたとおもうが、必要以上にとり続けると血液内のブドウ糖がたまってしまう。これが血糖値が上昇した状態といえる。すなわち、血液内のブドウ糖濃度を血糖値というのである。

ふつうならば、インスリンという膵臓から分泌されるホルモンが働いてくれるのであるが、糖尿病になるとその血糖を調節してくれるインスリンが不足してしまうか、インスリンの数以上にブドウ糖が増えすぎてその働きが追いつかなくなった状態を糖尿病であるといえる。

インスリンの働き

ではここでは、インスリンについてもう少し詳しく述べてみたいと思う。
インスリンは、体内の膵臓から分泌されるホルモンの一つであり、先にも述べたように血糖調節をしてくれる。血液内のブドウ糖を筋肉や細胞内に取り組むときも、肝臓に貯蔵するときもインスリンの助けがいる。
インスリンは、どのような過程で分泌されるのであろうか。それは、私たちが血液内にブドウ糖を取り込むと膵臓にインスリンを出すよう命令がでる。そしてその量に見合ったインスリンの量を分泌するのである。
ですから、食後は、インスリンの分泌が盛んであるといえる。

病型と病態

糖尿病は大きく分けてインスリン依存糖尿病(以下をIDDMという)、インスリン非依存糖尿病(以下をNIDDMという)、その他の糖尿病があげられるが、今回はIDDM、NIDDMについて述べてみる。

まず、IDDMは、若い人に発症しやすく急激に病状が進行しやすいものである。
インスリンの分泌が絶対的に欠乏した状態のため、血糖値は上昇、体内のブドウ糖をエネルギーとして、使用できないため代わりに脂質がエネルギー源になろうとするが、その際にケトン体という有害物質が出現し、それが蓄積されることで昏睡(糖尿病性昏睡)状態といい、糖尿病の諸症状(後に詳しく述べる)から吐き気や頭痛、腹痛など、またひどくなると意識を失い死に至ることもある。
これは、インスリンが不足している分を体外より補給することで、コントロールすることができるものである。
なぜにインスリンの絶対的不足が起こるのか、それはウィルス感染により自己免疫反応が引き起こされることで、膵臓の細胞を破壊してしまうからといわれている。本来、私たちの体は不必要なものに対しては、そのものを攻撃し、進入を防ぐ免疫反応がそなわっている。
しかし、感染することで、体内で何らかの変化で、私たちには、必要なものであるものまで攻撃してしまうことによりインスリンの分泌が出来なくなってしまう。これが、自己免疫反応である。

次にNIDDMは、40歳以上の中高年に発症しやすく病状は長い間にゆっくりに経過する。遺伝的なものも考えられるが、食べ過ぎや運動不足による肥満が原因といえる。
細胞や筋肉へブドウ糖を送り込むため、インスリンは分泌され機能するが追いつかず膵臓がインスリン量を増やそうと無理をしてしまう。すると、インスリンを分泌する元となるところが疲れて破壊されてしまうことにより、インスリン量が低下してしまうと言われている。

どういった人がなりやすいのか

IDDMは、先程述べたように多くみられるものであり感染によって起こると言われている。最近では中高年の人にもみられることもあるが、全体の糖尿病患者の5%ほどである。

一方NIDDMは、長年の生活スタイルが悪影響を及ぼし初期は自覚症状がなく、ひそかに経過しやすいため身体的にも、精神的、社会的に変調する中高年期に発症しやすい。また、遺伝的素因も両親が糖尿病であれば、40%以上発症しやすい。
しかしこれは、糖尿病そのものが遺伝するのではなく、糖尿病になりやすい体質を受けることであり、その人が過食、運動不足で肥満となると、NIDDMを発病しやすいといえる。

糖尿病や成人病の誘因として、ストレスも忘れてはならない。現代社会のめまぐるしい発展の陰にいつもついてくるストレスは、血糖を上昇させることがある。ストレスによって体内に血糖をあげるホルモンが分泌されることが誘因と考えられる。

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