家庭の医学

呼吸器について(1)

呼吸の病気について 1

はじめに

人は、何気なく鼻からまたは口から空気を吸い、吐いています。それを普通『呼吸』と読んでいます。これは意識している訳でもないのに、決して止まることなく行われています。オギャーと生まれてから息を引き取る最後の瞬間まで、人は一生のうちどのくらい呼吸を行っているのでしょうか。
その呼吸の仕組みは、一体どのようなものなのでしょうか。本人が意識しなくても、眠っている時でさえ、呼吸は休むことなく働き続けているのです。

考えれば考えるほど人間の体とは良く出来た不思議な構造になっているとは思いませんか。人間と言うものを誰が作ったのかわかりませんが、その不思議な構造の1つである呼吸についてここでは説明していきたいと思います。

呼吸の基礎知識

呼吸とは

人は、命をつむぐために酸素を必要としています。その大事な酸素を取り込むために呼吸と言うものをしています。そして酸素を使って生命に必要なものを作り、その時に不要なものとして生じた二酸化炭素を排出していきます。この一連の作用を総称して、呼吸と言います。

実は鼻や口から息を吸うという作用だけが呼吸ではなく、肺から取り込まれた酸素が血液中に流れ今度はその酸素を体の中の細胞が取り込み、細胞は酸素を使用して生命に必要なものを作っていくのです。
その中で生じた二酸化炭素を今度は細胞が血液の中に排出する、という肺で行われる呼吸と同じような作用を行います。このように身体の中でも、肺でも呼吸が行われるのです。つまり呼吸は、このような2つの作用から成り立っているのです。

呼吸の構造

2つの作用からなる呼吸ではありますが、呼吸の病気と言いますとやはり、肺や空気の通り道の障害を指します。その呼吸は鼻(鼻腔)から入り、のど(咽頭)、そして気管と呼ばれる空気の通り道をとおり、肺に到達して、酸素は体内へと導かれるのです。

何と言いましても呼吸の要は肺ですが、その肺は肋骨・胸骨・胸椎骨と言う3つの骨に囲まれて守られています。
これは、胸の中央にある骨と一般にあばら骨と呼ばれる骨のことを指すのですが、これに囲まれた空間を胸郭と言います。この中には肺以外に、心臓・大血管・食道・神経と言う生命に必要なものが収められています。
そして肺はさらに、薄い2枚の膜に覆われ、その膜の間に少量の液が入ることで呼吸をするときの摩擦から守られます。生命維持の中心となる大事な部分なので実に良く考えられています。

キーポイント
  • 肋骨・胸骨・胸椎骨(胸にある骨のこと)
  • 胸郭(この3つの骨に囲まれた空間)

肺は左右2つからなり、左は2つに分かれ、右は3つに分かれています。この下に胸とおなかの内臓とを区切る大きな膜があります。この膜を横隔膜と言い、胸の部分で閉鎖した空間を作っています。
この空間は常に陰圧となっていまして、息を吸うときにはこの膜が下がり、胸郭が広がるのです。そのために、陰圧がさらに高まって肺が膨らみます。この陰圧の作用で、外界の空気が入ってくるのです。
そして息を吐くときはそれが元に戻ることにより、肺の空気が押し戻されます。
つまり肺自体が力を使って膨らんで空気を取り込むのではなく、低い圧が普通の圧に戻ろうとする自然の現象で空気が取り込まれるようになっています。だから意識しなくても人は、呼吸をすることができるのです。
もちろん 運動をして多くの酸素が必要な場合は、意識して呼吸をしなければ体に必要な酸素の量が補えません。この時は呼吸回数が増えたり、意識して胸を最大限に広げ、多くの酸素を取り込もうと努力するわけで、その時は呼吸を意識して行います。

人間の仕組みはなんと不思議で良く出来ているものかとつくづく思わされます。
この良く出来たシステムが壊れたとき、安静時でも呼吸を意識しなければならないときが、呼吸の病気であるのです。

キーポイント
  • 横隔膜(胸とおなかを仕切る膜)
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