家庭の医学

分裂病について(1)

病型

分裂病には、主に三つの病型があるといわれています。
型(解体型)、緊張型、妄想型といわれるものですが、これに属さない型で分類不能型、残遺型、単純型といわれるものもあります。

破瓜型(解体型)

分裂病の典型的な症状が、ほとんど現れるのがこのタイプで、人格崩壊に至ることが最も多いといわれています。破瓜という言葉は、思春期という意味でありますが、15~25歳の思春期から青年期に発病することが多いように、発病年齢が低いことが特徴です。発病当初は、ほとんど周囲に気付かれることなく、深く静かに潜伏し、症状が慢性的に進んでしまいます。

悲しみや喜びなどの感情に動かされることがなく、表情の無変化などの感情鈍麻や周囲への無関心、やる気のなさ(能動性減退)、不潔、などがみられます。
ただ、とても感受性の強い部分が残っているため、些細なことでパニックになることもあります。
また、まとまって筋道だった考えができなくなることもあり、はたから見れば、幼稚で馬鹿げた行動や発言をしているように、見えることもあります。

周囲が明らかに病気だと判断するまでに、学校、仕事に行きたがらない、入浴を嫌がる、といった生活面での乱れや、これまでとは少し性格が変わったな、といった程度の変化が見られます。
その後、不安を訴えたりする軽い神経症程度の症状を示すこともあります。

緊張型

このタイプは、破瓜型と反対で、急に激しい症状が現れるのが特徴です。
特に理由もなく興奮して、やたらと動き回ったり、逆に周囲の働きかけに、全く答えなくなったりなどの意思発動の障害がみられますが、その症状により、興奮型、昏迷型の二つに分かれています。
これらの型は一見、正反対のようにもみえますが、背後に強い不安や緊張があることは共通しています。

興奮型
取り立てて興奮するような刺激もないのに、何かソワソワと落ち着きなく動き回ったり、大声を出したり、しゃべり続けたりします。
これらの症状は、周囲の事柄には全く無関係で、だれかの特定の人に襲いかかるとか、特定の条件でパニックに陥るといった一貫性はありません。
昏迷型
取り立てて興奮するような刺激もないのに、何かソワソワと落ち着きなく動き回ったり、大声を出したり、しゃべり続けたりします。
これらの症状は、周囲の事柄には全く無関係で、だれかの特定の人に襲いかかるとか、特定の条件でパニックに陥るといった一貫性はありません。

緊張型には興奮型や昏迷型にみられる症状以外に以下の特徴的な症状もみられます。

カタレプシ-
座った姿勢で、誰かに腕を高く持ち上げられても、そのままの姿勢でいつづけます。
反響動作
相手の発言や動作をそのままオウム返しに真似します。
常同
廊下を何度も行ったり来たりと往復を繰り返したり、同じ事を何度も言うといった、意味のない行為を繰り返します。
衒奇(げんき)
つま先立ちで歩くなど、奇妙に見える行動がみられます。
拒絶
食べ物を勧められても頑として食べないなど、働きかけに拒否をする態度をとり続けます。
妄想型

妄想型が発病する年齢は、破瓜型、緊張型より遅く、30歳前後が多いようです。
文字通り妄想が病気の中心となるものですが、破瓜型の断続的、一時的な妄想と違い、終始一貫したスト-リ-をもった幻覚や妄想を抱きます。

このタイプには、幻覚・妄想以外の症状はあまり認められず、妄想に関連すること以外での、おかしな行動や発言は見られません。
すれちがった人の咳払いや女子社員のお茶の置き方など、身の回りで起きている日常のことを、すべて被害妄想に結びつけ(関係妄想)、それが嫌がらせや何かの合図だと確信して、「周囲が会社の部下と特別な関係にあるとうわさしている」、「地域ぐるみで嫌がらせをする」、「自分は宇宙の使者だから皆が敵意をもっている」などの誇大妄想に発展することもあります。

分類不能型
破瓜型、緊張型、妄想型のどれにも属さない、混然一体となったもので、一貫した妄想と断続的な妄想が併せて出現したり、破瓜型に特徴的な子供っぽいふるまいと、一貫した誇大妄想が併存したりします。
残遺型

分裂病の症状が強く出て、その後治療の時間の経過とともに、治まった方に見られるものです。幻覚や妄想はほとんど消えていますが、感情の動きや鈍さや考え方はそのまま残っています。
時折おかしな行動をとったり、意味なく声を発したりします。また、連合弛緩といって、思考のつながりが論理的でない為、会話をしてもつながりが明確でなく、まとまりが悪い印象があります。中にはうつ状態を併発することあります。

単純型
破瓜型とよく似ていますが、幻覚や妄想は全くなく、自分の部屋に閉じこもって、人との接触を極端に嫌います。意欲もなく仕事や通学もできなくなってしまことがあります。

以上で分裂病のおおまかな病状、病型、診断基準についての説明を終わります。
病態が極めて多伎にわたるため、学者や研究者の中でも意見の分かれる病気であります。
ここで説明したものが、すべてというわけではありませんが、少しでも何かの参考にしていただけるのではないかと思います。

参考文献

山下 格 編 : 精神医学ハンドブック

E・フラ―・ト-リ-著 : 分裂病がわかる本

遠藤 俊吉・森 隆夫 著 : よくわかる心の病気

大原 健士郎 著 : 心の病、その精神病理

デビット・A・トム著 : レジデントのための精神医学

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