家庭の医学

分裂病について(2)

内面的な問題や課題について

はじめに

前回の分裂病のシリ-ズでは、主な症状、診断基準、病型についての説明をさせて頂きましたが、今回は分裂病の方々についての、社会生活していく上での困難、家族の葛藤、病気とのつきあい、接し方、など、内面的な問題や課題をご説明させて頂きますので、どうぞお付き合い下さい。

病気への理解

人間には、生活していくうえで様々な災いが生じます。
例えば、災害、事故、火事、等の災難ですが、これらのことは友達や親族からの共感、協力を得られれば生きていけるものです。人々は互いに救いの手を差し伸べ、気持ちに共感し、大きな安らぎを与え、助けが必要な時に支えになれるものです。

しかし、分裂病の人々の内的世界については、なかなか理解しづらいものがあり、共感が乏しくならざるを得ません。
病気そのものが、殆どの人には不気味でなじみがなく、また恐いものだと思われがちです。
患者は奇抜な行動をとったり、奇妙なことを言ったり、他人と接触を避けたり、人に危害を加えようとすることもあるため、患者がなぜそのような行動をとるのか、何を考えているのか理解されず、恐怖と不信感、先入観、偏見の目で見られるなど、理解されにくい状況でもあります。
そのため、就職や住居を探すうえで、また地域で生活するうえで困難さを増し、病気を隠して生活している人々も大勢いることも否定できません。

共感が得られない分裂病の人々は、孤独で、出口の見えない暗闇に閉ざされています。
また、家族を結び付けるもの、心の痛手を癒すものがなく、家族全体の苦悩ともいえます。

そのため、本人は勿論、身近にいる家族や友達が、この病気はどのようなものなのか、内面にどのようなことが起こっているのか、どのようなことを体験しているのかなど、できるだけ多くのことを知る必要があります。
また、本人の体験・言葉に耳を傾け、本人の気持ちになり、どれだけつらい思いをしているのか、目に見えない声に感情をコントロ-ルできない苛立ち、家族・友達・周囲の人々に理解されない苦しさなど、共感することができれば、これまでの苦悩は次第に形を変え、周囲の者にとっても患者自身にとっても、大きな変化をもたらすものと思われます。

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