Dr.エンドーのガッテン講座

講座その8:大豆の効用(1)”土からとれるお肉”と牛肉の関係

狂牛病とは?

ここからは大豆のはなしから少しわき道にそれますが、きわめて今日的な問題ですので触れておきます。
それは狂牛病のことです。10年近く前に気がつかれて、こんにちなお問題となっています狂牛病はまさに前述したような人災です。
イギリスで始まったとされる牧畜業者の羊をはじめとする動物性食材の畜産への応用です。より早くに立派なお肉に成長した肉牛を得るための畜産加工業の改革であったのでしょう。
この方法は急速に全世界的に広まりました。

狂牛病とは、もともと羊の病気 スクレーピーと同じものであり、羊の肉や脳脊髄をふくむ臓物ならびに肉骨粉からの伝播です。
ヒトにも同じような病気で、亜急性海綿状脳症(クロイツフェルト-ヤコブ病)というかなりまれな病気があります。
こうした中枢神経系の病気は、神経病理学的に古くは変性疾患といわれて長い間原因不明とされていました。
狂牛病がまさに「現代文明の落とし子」であるがゆえに、国際的な研究体制の強化と研究競争を生み出しました。その結果、現在では原因物質や伝播のしくみはほとんど解明されようとしています。

おどろいたことに、原因物質はウィルスや細菌といった微生物ではなく、ある変異タンパク質だったのです。
その変異タンパク質は、食べ物の中にあった場合には消化管の中から体内に吸収されて、自己増殖します。
それは末梢神経系を伝わって脳や脊髄まで行って神経細胞やグリヤ細胞にとりこまれて、細胞を破壊してしまうというものです。

地球上の生物の根本的な共通点は、自分と同じものを造って増える(増殖)ことです。
増殖にかかわる物質とは、みなさんもおなじみのDNAやRNAといわれている核酸で、自己複製とタンパク合成にかかわります。
これは現代科学信仰の「中心となるドグマ(大前提)」といわれているものです。
これに反するものとして狂牛病の伝播物質の変異タンパク質がみつかり、それゆえに今日的大問題なのです。そしてまた、ノーベル賞に値する研究成果につながったわけです。

ところで、藤元メディカルシステムのある都城一帯は畜産が盛んであり、宮崎牛の主産地とききます。豊かな牧草と排気ガスの極力少ない空気に恵まれた地域で産される都城牛の品質のたかさは、この地を訪れるごとにガッテンしている次第です。

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